牛バラ肉のワイン煮を作ったった
つい先日のことである。
あまりお付き合いのない方からワインをいただいた。
山梨県にある石和温泉に行ってきていたそうで、そのお土産である。
山梨といえば、ぶどうの栽培も有名だし、赤玉ポートワインってのも確かそうだったと思う。
記憶違いなら申し訳ない。
さて、ワインなのだけどボクは飲めない。
何度か書いてきているが、ボクは完璧な下戸である。
アルコールを分解することができない体質なのだ。
はて、困ったなと。
実家にでも持っていこうかと思ったのだけど、うちの家族もあまりお酒は強くないんだよね。
飲んでもビールとか、焼酎とかそういうのだ。
ワインを飲むなんて聞いたことがない。
とは言え。
このままワインを持っていても仕方がない。
いちおう実家に電話で聞いてみたのだけど、あまり反応は芳しくなかった。
だったら、もったいないかもしれないが料理に使ってしまおう。
と、考えたのである。
あれこれレシピを見てみると、ワインを多く使ったものにワイン煮というものがあったので、キミに決めたというワケだね。
さっそく肉屋さんに行って、牛バラ肉を1キロほど買ってくる。
下処理をしてから、鍋に牛バラ肉を入れてワインを一本まるごと開けてみた。
うん、正直にいうとその匂いだけで酔っ払ってしまいそうだ。
玉ねぎやらセロリやらと、ホールトマトを使ってお肉をコトコトと煮込む。
途中、仕事をしていたので3時間くらい煮込んだと思うんだ。
最初はワインの赤紫というか毒々しい魔女が作る鍋みたいな色をしていたのが、すっかりトマトの赤に染まっていてきれいだ。
ここから味を整えていくのだけど、レシピ通りに作ったものの味がぼんやりとしていてなにがなんだかわかんない。
なんか酸っぱい汁みたいになっとる。
ううん。
どうすんだ?
いやさ、なんの調味料を入れれば良いのかさっぱりわからん。
とりあえず塩を入れてみるが、あまり味に変化がない。
酸っぱいから砂糖か、いや砂糖をいれるのはちょっと怖い。
しばらく悩んでから、インターネットで検索してみる。
ワイン煮の味の決め手というワードだ。
そしたらちゃんとあるんだよね。
とりあえず書いてあったウスターソースとしょうゆを入れてみる。
ついでにケチャップも足してみた。
随分とマシになったぞ。
でも、まだなんか違う。
酸っぱさが軽減されるどころか、強くなっている。
たぶんウスターソースやケチャップの酸っぱさだろう。
ここにきてボクは腹を決めた。
もうワイン煮こだわるのはやめよう。
洋風の味付けなんか知ったこっちゃないということだ。
鍋の中に砂糖を入れる。
そして、醤油をかけまわしていく。
匂いが変わった。
明らかにこれはボクの知っている牛肉の煮込みっぽい匂いだ。
こうなればもう後はそこに近づけていくように味付けをするだけになる。
しばらく煮込みつつ、できあがったのはやけにご飯がすすむ牛バラ肉のワイン煮だった。
そして、ボクは気づいてしまった。
ハッ(´゚д゚`)
思てたんと違う
結局、あのワインはどこにいったのかという感じの仕上がりだった。
まぁじっくりと味わってみれば、ほろ苦さや複雑な味の奥行きを感じるので、いなくなったのではないのだろう。
ボクはそれをワイン煮だと言い張って実家に持っていった。
なにも知らずに食べた両親よ。
すまぬ。
結局のところ。
日本人は砂糖と醤油のあまから味から逃れられんのだ。
そして、これがたぶん正しいワイン煮だと思う。